ナンペイ事件!直後にポスティング依頼

ナンペイ事件!直後にポスティング依頼

 

ナンペイ

95年、八王子市大和田町で発生した「八王子スーパー強盗殺人事件」(ナンペイ事件)が解決するかもしれない。
覚醒剤所持の罪で、中国で死刑が確定している日本人男性が、「「中国人の知人が事件に関与した人物を知っている」と話している」と現地の捜査当局から情報が入り、日本の捜査員が中国大連に派遣され、このほど帰国した。

http://www.so-net.ne.jp/news/cgi-bin/article.cgi?gid=soc&aid=20090913-570-OYT1T00350

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090919-00000060-jij-soci

この事件に筆者は特別な感慨がある。

事件は筆者が八王子でポスティング業を開業し、ちょうど一年ぐらい経ったころおきた事件だった。事件発生の翌週一番早く、一本のポスティング依頼の注文が入った。

ある、食品デリバリー業者さんからの依頼で、メニューをポスティングして欲しいとのことだった。ここまではごく普通のポスティング注文と喜んで話を聞いていたのだが・・。

注文をよく聞くと驚いたことに、事件のおきたスーパーナンペイの周囲が注文エリアになっていた。筆者も不思議に思い、よくよく聴いてみると、事件がおきたゆえに、周辺の住民が外出を怖がるし、住民はナンペイスーパーが開店不能、食材購入が困難になることから、今こそ食品デリバリー業者の出番ゆえ、ナンペイ周囲にチラシを撒いて欲しい(5000枚ぐらいだった記憶がある。)とのことだった。

いやまあ、それはその通りかもしれないが、当社の配達員にも主婦がたくさんおり、その方達に、「ナンペイ周辺を配って来て」とも指示が出しにくい。また、出すべきではないと筆者は考え、5000枚のうちナンペイに比較的遠いエリアは一般の男性配達員たちに頼み、核心の大和田町4丁目、当社のエリアコードで51087とその両脇は、筆者自らポスティングした思い出がある。
ちなみに今そのデリバリー業者さんはとうの昔に閉店し、もう営業していない。

バイクで配ったのだが、事件がおきて一週間ぐらい後の夕方配達。現場の周辺は捜査関係者、制服、私服入り混じり物々しい聞き込み、検問体制がしかれていた。なんせナンペイ周囲5000枚、軒並、という注文条件だったので、ナンペイ周辺すべての道路をくまなくトレースしなければならない。
すると100mごとにお巡りさんに止められる「あのーちょっといいですか、免許証拝見させてください。」「いや、この路地の反対側でも止められて、もう聞かれた。」と言うと「いや、そんなこと仰らずに・・」「この場所は良く通るのですか」と返される。いや参った。

今でこそポスティングということが一般的に知られてきたのだが、当時はまだそれほど業として存在するものとは一般的に思われていない時代でした。事件のあった場所の夕暮れ、バイクに乗った人相の怪しい男(笑い)がチラシを配っていれば、止めない方がどうかしているかもしれない。
聞けば、この近辺の住人やこの付近を通勤や通学で通っている方の中に、必ず犯人を見た方がいるかもしれない「いや、絶対居る」ので、通る人には全員事情聴取していると言う。「ポスティングの方だからこそ詳しく聴きたい。」と聞いてくる若い刑事さん。真剣そのものである。

無碍にするわけにも、もちろん逃げるわけにも行かないし。チラシは配らなければならない。が、こうなったら、筆者もバイクを止め逐一聴取に応じるわけだが、元来、物好きなので雑談がてら色々話す。
当時その周囲は、16号バイパスが混雑した折の抜け道として、車が16号より抜けてくる。そんな感じの場所だった。土地勘、ターゲット選びの形成要因として16号から抜け道で中に入ってくるという生活パターンを持った中に犯人が居るかも・・と話した。若い刑事さんは、凶悪事件なのでなんとしても犯人を捕まえたい。と必死な感じで聞いていた。

あれから14年の月日が経ち、なおも周囲の掲示板には、「忘れられない事件です。」で始まるナンペイ事件の情報を求める八王子警察署のポスターが色あせることなく貼られている。ポスターは集合ポストの上に掲示されているので、ポスティングしているとそれが間違いなく目に入るわけです。「あの若かった刑事さんが今でもポスターを配っているのかも知れない」と、思いながらそれを見やると、犯人への怒りがこみ上げてくると同時に、10年以上経った今でも執念深くポスターを配り続ける捜査関係者への尊敬の思いと、あの若い刑事さんの真剣な面持、10年以上前の事件の記憶の風化が思いやられ、一種複雑な心境に陥るものです。

時効成立まであと10ヶ月、なんとか真犯人までたどり着けないだろうか。

http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/jiken/jikenbo/hatioji/jiken.htm