ポスティング。 ”成功と反響”の要は エリア割 にあり

エリア割とは

ポスティングエリアとは?

住居表示を参考とし、共通のマーケティング特性、地理特性、配達特性により区分けされた一連の配達地域のこと  posu_o

難しく書きました。

ポスティング広告のエリア割について、皆はどんなイメージを持っていますか?

「住所ごとに発注出来る」「新聞折込より細かいエリア選別が出来る」「指示すれば自由に指定できる」ということですかな。

一番多いイメージは「住所ごとに」ということでしょう。
住所ごというのはいわゆる町丁目ごとに発注するということです。

住所は、国家プロジェクトで決められてきました。

住所という万民に分かる共通プロトコル(コミュニケーション規約)を使えば分かりやすいし、人に伝えやすい。

ポスティング会社は、ほぼこの住所ごと(~町・○丁目)で区割りして受注しています。

ただ、住所だけでポスティングのエリア割をしようとすると、問題だらけで実際には使えないのですよ。特に多摩では調整が必要。

ではどのようにエリア割をすれば、ポスティング業的に意味があるのでしょうか?
さらに、このエリア割の技能が実はポスティング広告の成否を分ける大きなポイントだとしたら、どうでしょう?一度考えてみる必要があります。

住所、住居表示によるエリア割

「住居表示」という言葉を調べると、昭和37年に施行された「住居表示に関する法律」が出てきます。

では法的定義を見てみよう。

住居表示に関する法律、第二条(昭和三十七年五月十日法律第百十九号)

(住居表示の原則)
一  街区方式 市町村内の町又は字の名称並びに当該町又は字の区域を道路、鉄道若しくは軌道の線路その他の恒久的な施設又は河川、水路等によつて区画した場合におけるその区画された地域につけられる符号及び当該街区内にある建物その他の工作物につけられる住居表示のための番号を用いて表示する方法をいう。
二 道路方式 市町村内の道路の名称及び当該道路に接し、又は当該道路に通ずる通路を有する建物その他の工作物につけられる住居番号を用いて表示する方法をいう。

世界的には住居表示の方法として、二の道路方式が主流だそうです。ですが、日本では一の街区方式も併用しています。というか、街区方式のほうが圧倒的に多いような気がする。

余談ですが、街区を構造に取り入れているのは、僕の知る限り、日本とフィリピンの一部(新規開発地域)のみとなっています。
韓国もかつては街区ベースでしたが、2014年1月よりシステムが変更され、街路(ストリート)を基本とする形になりました。
情報提供をいただき、北朝鮮でも街区ベースの住所が利用されているという話を聞きました。ただ、裏付けはできていません。

韓国という国柄は、一度方向を決めたらとことんやる、ということだそうですが、ものすごいスピードで区画整理したのかもしれません。

現代でも土地の登記は、名称ごとに分筆したときに附番された土地番号(地番)を使います。
以前は慣行的にそれを住所として使っていましたし、今でも住居表示されていない所は地番が住所になります。

住居表示は区画整理とともに附番されるのですが、行政の区画整理のスピードはなんでこんなに遅い(20年30年かかる)のか?・・筆者には了解不能です。

多摩には住所がいまだ地番の地域が大量に残っています。

さっぱり家を探せない地番錯綜地域もある。(日野、八王子!)。ポスティンガーや郵便、宅配便の配達員が困るではないか。地番表示地域、地番錯綜地域の放置による宅配、郵便、新聞、ポスティング事業者の被る経済的損失はいったい毎年いくらになるのやら・・

ポスティングで問題になるのがこの放置されっぱなしの街区、要するに大字町名と旧町名、旧村・・江戸時代の名主の領地?お寺の領地?の名残がいまだに残っている大字小字。

大字、旧町名ごとの配達は、エリアが大きすぎたり小さすぎたりで規則性が無く、宅地や丘陵地帯を無規則無定形に横切っている場合が少なくありません。道路工事、河川改修、宅地開発や商業開発などで、明らかな住居区界の異同があっても、住居表示が採用されないままの場所もたくさんあるということです。

このような区割りのままでポスティングすると、配達の境界は無規則に住宅地を蛇行したり、擁壁の上下を上がったり下ったり・・家が全くない場所も配達マップに入ったりと、正確かつ効率的なポスティングが出来ません。

片倉周り

片倉周辺行政区画割 1/25000地形図ベース

例えば、八王子の片倉。行政の区分によると東京工科大学から片倉台団地、京王片倉の駅周辺まで全部片倉(上図)マーケティング的には東急片倉台は、北野台、絹ヶ丘などと共にそれだけで配りたい。だけど片倉全体の受注だとそれが出来なくなってしまう。八王子市はなぜ片倉台団地造成の時に、住居表示しなかったのかよくわかりません。鑓水2丁目も団地部と分譲住宅部、ローカルな住宅過疎地域が混在したままです。

鑓水周辺住所割

ポスプロのエリア割だと、片倉はもちろん片倉台と片倉駅周辺に仕分けします。鑓水二丁目も団地は賃貸と分譲に仕分けし、分譲住宅も別途設定します。
行政区画の鑓水2丁目で発注すると、別途に指示しなければ配達員は楽な順に配りますから、団地ばかりに入るということになります。

片倉~鑓水ポスプロエリア割

ポスプロの片倉~鑓水周囲エリア図

ポスティングの区割りの方法

ポスティング広告における、配布単位=エリア割は、行政で標準化された”住所”による区分けをベースに組み立てます。ただしあくまでもベースとしての話。

同じ町名でも高級分譲住宅地やマンモス団地のすぐ側に牛舎や養鶏場、畑があるような田園地帯も同じ町名だったりすると、その町名をポスティングのエリア割として採用できません。江戸時代からあるような狭小な旧町が累積している八王子中心部もダメ。

マーケティング的に使えないし、仕分けも困難、配達難度も増えるばかりで採用出来ないのです。

このような地番地、大字地区、旧町名地区は、区画整理の先取と、地理特性、マーケティング特性、配達特性に応じて分け直しをします。

まず住所表示で区切ってみますが、地番表示の旧町名と混在しているところが出てきます。そこでもう一度住所表示を参考にしながらそれぞれの手法を取り入れて総合的に切りなおしていきます。

◆区画整理事業の先取り?

これは市町村の区画整理事業の計画を調べ、街区方式を先取り予測して仕分けを行うということになります。

◆マーケティング特性によるエリア割?

似た家族構成や年齢層、購買層を持つ家並み集団が群れているような場所を他と分けてエリア割りします。

例えば旧村大字町名区界の真中に、分譲住宅地や巨大団地が開発された場合などは、同じ町名のままでも、団地外ののどかな田園風景地帯や、丘陵地帯と巨大団地は仕分けされます。

◆配達特性による区分け?

田園丘陵地、崖線、住宅地を無規則無定形に蛇行横断しているような古い町名区画を守っても配達の支障になります。そもそも道路もない山中に家はありません。ポスティングのエリアとしては対象外になります。配達員が無理なく自分の配達場所を確認できるよう、道路や鉄路、河川、崖線の上と下、尾根の背骨などに沿ってエリア分けをいたします。この手法で大きすぎる大字エリアや小さすぎる旧町は、分割したり統合したりします。

ポスティングのエリア割は、これらの要素を絡めながら行います。

片倉町の例だと東急片倉台団地だけを分譲住宅として他と区分けします。住宅の無い東京工科大学周辺はエリア割しません。

ポスティングの部数表の見方

国勢調査や市町村発表の人口統計データのままだと、まともにポスティングの企画が出来ないので、統計はポスティングの部数表にはなり得ません。住所表示の不完全さを理解の上で、万民に最も分かる共通プロトコルとしてのメリットと、不完全さを精査した上でポスティング会社の部数表を見てください。

多摩で経験の浅いポスティング業者さんや素人業者さんはこの事情が分かりません。激安業者さんはこのリスクを回避するために、配布率を落として値引きします。

受注間口を広げたい業者さんは、取りあえず人口統計データをダウンロードして、部数表や世帯表として一都三県全市町村貼り付け、受注後外注します。

結果的にターゲットとのミスマッチ・取りこぼしが多い”ユルイ”配達になると、ポスティングの効果は激減します。

業者の部数表や配達計画の裏をよく見る目を持つことが、ポスティング成否のカギを握ります。

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